数学ソフトウェアとフリードキュメント 35

2024年3月16日(土) 午後14:00〜17:10

  • 大阪公立大学杉本キャンパス(全学共通教育棟3階83J教室)
  • X ハッシュタグは #msfd35 です.
  • 対面参加を基本としますが,事前参加登録をされた方にはZoom接続情報を提供いたします.
  • 懇親会については受付を締め切らせていただきました.

組織委員会

  • 野呂正行 (立教大学)
  • 高山信毅 (神戸大学)
  • 濱田龍義 (日本大学/OCAMI)
  • 横山俊一 (東京都立大学)

後援

  • 日本数学会情報システム運用委員会

講演予定者(50音順)

  • 清水雄貴(東京大学)
  • 根上春(千葉大学)
  • 劉雪峰(東京女子大学)

プログラム案

  • 14:00〜14:50 “JuliaによるPlateau問題の解の探索”, 清水雄貴(東京大学)
  • 15:10〜16:00 “NPO法人数学カフェの取り組みー数学における双方向の科学コミュニケーションの実践ー”, 根上春(千葉大学)
  • 16:20〜17:10 “クラウド教育システムCES-Alphaによる数学演習問題の自動採点:開発の経緯と授業への応用”, 劉雪峰(東京女子大学)

概要

  • 14:00〜14:50 “JuliaによるPlateau問題の解の探索”, 清水雄貴(東京大学)
    • 針金の形を変えずとも,石鹸膜の形が異なることがある.では,異なる形状の石鹸膜がどれだけ存在するか,針金の形状から予測できるだろうか.数学的に言えば,この問題はPlateau問題の解の個数を境界形状を表す幾何学的量によって決定する問題と言い換えることができる.多くの幾何解析学的研究があるものの,単純な境界形状でさえ,具体的な解の個数を決定することは困難である.本研究では,基本解近似解法と複素幾何学を活用し,Plateau問題の複数解を探索する数値計算法を開発した.講演では,研究全体を概観した後,Juliaの活用事例の一つとして,複数解探索の数値実験について紹介する.本研究は榊原航也氏(金沢大学)との共同研究に基づく.
  • 15:10〜16:00 “NPO法人数学カフェの取り組みー数学における双方向の科学コミュニケーションの実践ー”, 根上春(千葉大学)
    • NPO法人数学カフェ(以下数学カフェ)は、所属組織、居住地、性自認、性指向、体調、国籍など様々な境界を取り払って誰でも数学を楽しめる場所「境界なき数学コミュニティ」を目指して活動する非営利法人である。2015年に任意団体としてスタートし、2021年に法人登記を行った。数学カフェの特徴は、運営メンバーが数学愛好者だけではなく、微生物学者や不登校者支援者など多様であることである。このことにより、数学の愛好者の中ではマイノリティであった属性を持つ人々の目線に立った企画を行うことを目指している。科学のアウトリーチ活動においては、市民に科学的知識が足りないという前提に基づき専門家が講義を行う「一方向(科学)コミュニケーション」のモデルを取るものが主流であるが、近年では市民を交えた対話を行う「双方向(科学)コミュニケーション」のモデルを取る活動の重要性が注目されている。本講演では、数学カフェにおける双方向科学コミュニケーションの事例について紹介し、今後の展望を述べる。
  • 16:20〜17:10 “クラウド教育システムCES-Alphaによる数学演習問題の自動採点:開発の経緯と授業への応用”, 劉雪峰(東京女子大学)
    • 本講演では、CES-Alphaの主要開発者が、2020年からのコロナ禍の中でSymPyを基盤として開発した数学演習問題の自動採点システムについて紹介する。CES-Alphaにおける自動採点の仕組み、特にSymPyを使用したシンボリック計算の利点とその制約、そして数学演習での応用時の注意点について解説する。さらに、新潟大学での微積分授業におけるこのシステムの導入効果に関して、アンケート調査に基づいた結果を報告する。